これからの季節窓際に立つと、なんだかスースーする。
冬の朝はサッシの下にびっしり水滴、放っておいたらカーテンの裾が黒カビだらけ……。
そんな経験、ありませんか。

実はその原因、壁でも断熱材でもなく「窓」です。
家の熱の約5〜6割は窓から逃げていきます(冬の暖房時に開口部から流出する熱は約60%。出典:一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会)。
どんなに良い暖房を入れても、窓が薄いガラス1枚なら、財布の中身を窓から放り投げているようなものなんです。

家の弱点は、いちばん高いところでも古いところでもなく、いちばん薄いところです。

今回は内装工事現場を見てきた立場から、既存の窓の内側にもう1枚窓を作る「内窓DIY」を解説します。
材料費は1窓あたり5,000〜10,000円程度。賃貸でも原状回復できる方法をお伝えします。

なぜ窓だけがこんなに冷たいのか

壁の中にはグラスウールなどの断熱材が入っています。厚さ50〜100mmの空気の層が、外の寒さを室内に伝えないよう頑張ってくれているわけです。

ところが窓はどうでしょう。ガラスの厚みはたったの3〜5mm。
しかもアルミサッシは金属ですから、熱をぐんぐん伝えます。
フライパンがアルミで作られている理由を思い出せば、窓枠がどれだけ熱を通しやすいかイメージできるはずです。

結露は「カビの前借り」

冷たい窓ガラスに、暖かく湿った室内の空気が触れると水滴になります。これが結露です。

冬の朝、結露で水滴がびっしり付いた窓ガラス

やっかいなのは、結露そのものより、その後です。
垂れた水がサッシの下枠に溜まり、窓枠の木部やクロスの下端に染み込む。
そこにホコリが混ざると、カビにとっては最高のごちそうになります。

現場で解体すると、窓下の石膏ボードが茶色く変色し、指で押すとふにゃりと沈む物件をよく見かけます。住んでいる方は「ちょっと結露するだけ」と思っていたのですが、内部では10年かけて着実に腐っていたわけです。

すでに窓下のクロスがめくれている場合は、壁紙の剥がれ・めくれ補修 簡単DIY術もあわせてご覧ください。

毎朝の結露拭きは、掃除ではなく、家からの警告です。

「うちは複層ガラスだから大丈夫」も油断は禁物

築15年以内のお宅なら、ペアガラス(複層ガラス)が入っていることも多いでしょう。
ガラス自体の性能は上がっていますが、問題はサッシの枠です。

日本の住宅では今もアルミサッシが大量に使われています。
ガラスは二重でも、枠が金属のままなら、そこが冷たい橋(ヒートブリッジ)になります。実際、ペアガラスのお宅でも「サッシの枠だけびっしょり濡れる」というご相談は非常に多いです。

窓を触ってみて、ガラスより枠のほうが冷たいと感じたら、その家の弱点は枠側にあります。

解決策は「空気の層」を作ること

断熱の原理はとてもシンプルで、動かない空気の層を作ることに尽きます。
ダウンジャケットが暖かいのも、羽毛そのものではなく羽毛が抱え込んだ空気のおかげです。

つまり、既存の窓の内側にもう1枚パネルを立てて、その間に空気を閉じ込めればいい。これが内窓です。

業者に頼む場合とDIYの違い

樹脂サッシの既製品内窓(インプラスやプラマードUなど)を業者に頼むと、掃き出し窓1か所で8万〜15万円程度が相場です。性能は文句なしですし、補助金が使える場合もあります。

一方、中空ポリカーボネート(プラダン状の中空板)で自作する内窓なら、材料費は5,000〜10,000円程度。断熱性能は既製品には及びませんが、窓表面の温度が数℃改善し、結露はかなり抑えられます。

中空ポリカーボネート板の断面と中空層

完璧を待つより、今年の冬に間に合う方を選んでください。

実際の作り方と材料

用意するもの

引き違い窓にするなら、上レールと下レールで溝の深さが違う専用品を選んでください。
上レールは溝が深く、下レールは浅い。これは、はめ込むときに一度上に持ち上げてから下に落とすためです。ここを間違えると、パネルが入らないか、逆に外れて倒れてきます。

ガラス戸レール上下の溝の深さを比較した図

手順

1. 窓枠の内寸を測る

窓枠の内寸をメジャーで採寸する様子

窓枠の内側の幅と高さを、上・中・下、左・中・右の3か所ずつ測ります。

上下と左右とも必ず3箇所測ってください。
古い家ほど枠が歪んでいて、上と下で5mm以上違うことは珍しくありません。
必ず「一番狭い寸法」を採用してください。

2. レールを貼る

窓枠の下枠に樹脂製のガラス戸レールを両面テープで貼る様子

窓枠の上下に両面テープでレールを固定します。
貼る前に必ず、枠のホコリと油分を中性洗剤か住居用アルコールで拭き取ってください。
ここを省くと、真冬の乾燥した時期にぽろりと落ちます。

3. ポリカ板をカットする

中空ポリカーボネート板を金属定規とカッターで切断する様子

パネルの幅は「窓枠内寸の半分+40mm」程度(重なり代を確保するため)。
高さは「レールを貼った後、上レールの溝の奥から下のレールの溝の底までを実測し、
そこから3mm程度引いた寸法」とします。

カットは金属定規を当てて、カッターで3〜4回に分けて。
一発で切ろうと力を入れると刃がブレて、断面がガタガタになります。中空ポリカには縦に中空層が走っているので、その方向を縦(上下)にすると強度が出ます。

4. はめ込む

中空ポリカーボネートのパネルを上レールに持ち上げて差し込む様子

上レールに持ち上げて差し込み、下レールに落とす。これで完成です。

中空ポリカの内窓を取り付けた掃き出し窓の完成状態

安全面の注意

  • 脚立作業は必ず正面から。横向きに体をひねって作業すると、重心が外れて転倒します。掃き出し窓なら床作業で済みますが、高窓は誰かに脚立を押さえてもらってください
  • カッターは必ず刃を新しくする。切れない刃ほど余計な力が入り、滑って手を切ります
  • 切り落とした端材の断面は鋭利です。素手でなでないよう、軍手を着用してください
  • 火気の近くには設置しない。ポリカーボネートは燃えにくい素材ですが、ストーブの真横などは変形の恐れがあります

こんな窓には向きません

正直にお伝えしておくと、内窓DIYが使えない窓もあります。

  • 窓枠の奥行きが40mm未満の窓:レールを貼るスペースが足りません。この場合は、枠の外側(室内壁側)に木材で下地を組む一手間が必要です
  • 窓の前に物が置いてある窓:内窓は既存の窓より手前に出ます。家具やカーテンレールと干渉しないか、先に確認してください
  • 出窓の一部や、内開きの窓:開閉方向がぶつかります
  • 火災時の避難経路になっている窓:緊急時に2枚外す手間が増えます。寝室など避難を想定する部屋では、片手で外せる軽量パネルにとどめるなどの配慮を
  • 景色を楽しみたい窓:中空ポリカは半透明なので、光は通しますが外の景色はほとんどぼやけてしまいます。眺めの良いリビングの窓は透明なアクリル板やポリカ板を使用する等にする方法もあります。

できないことを先に知っておくのが、プロの段取りです。

よくある失敗と対処法

レールがすぐ剥がれてしまう

原因のほぼ100%は、貼る前の下地処理不足です。
窓枠には結露で運ばれたホコリと、意外なほどの油分が付着しています。
中性洗剤で拭いた後、必ず完全に乾かしてから貼ってください。

冬場は特に注意が必要で、両面テープは10℃を下回ると粘着力が大きく落ちます。
作業する日は、事前に部屋を暖めておくと定着が段違いです。

パネルがカタカタ鳴る

パネルの幅や高さがレールに対して小さすぎると、隙間風でカタカタ音が出ます。
パネル側面に隙間テープ(5mm厚のスポンジタイプ)を貼れば、音も止まり気密も上がって一石二鳥です。
窓まわりの隙間そのものを塞ぎたい場合は、シリコンコーキングの使い方も参考になります。

内窓の内側が結露した

これは実は成功のサインです。外側の窓が結露せず、内窓の室内側に水滴が付いているなら、単純に部屋の湿度が高すぎます。
加湿器の設定を下げるか、1日2回、5分ずつの換気を習慣にしてください。

なお、内窓と既存窓の「あいだ」が結露する場合は、内窓の気密が足りず室内の湿った空気が入り込んでいます。隙間テープでの目張りを追加しましょう。

まとめ

半日と1万円以下で、窓際の冷気と毎朝の結露拭きから解放されます。

内窓を付けた部屋は、暖房の効きが目に見えて変わります。窓際に立ったときの「スースーする感じ」が消え、朝カーテンを開けても水滴がない。外の車の音も少し遠くなります。

そして何より、窓下の壁が静かに腐っていく流れを止められます。
今の1万円が、10年後の壁補修10万円を防ぐと考えれば、これほど費用対効果の高いDIYはなかなかありません。

家は、住んでいる人が手を入れた分だけ長持ちします。

寒くなる前の、今の時期が一番の作りどきです。まずは一番よく使う部屋の窓、1か所から始めてみてください。

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